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タレント化する女子アナの現在地

◇女子アナのタレント化は90年代ごろから

女子アナと云えば、今やどの時間帯の番組でも当たり前のように目にするようになりました。報道番組だけではなくバラエティやスポーツ番組などにも不可欠な存在で、寧ろそれを目的に視聴する男性は少なくないでしょう。

そもそもこのような形で彼女たちが重宝されるようになったのは、テレビの黄金期と呼ばれた90年代にまで遡ります。これくらいの時代から、主にフジテレビなどが女子アナの個性をプッシュするようになり、徐々に報道番組以外の部分でも露出が増えるようになったのです。そして他のテレビ局も追随し、現在のような役割が形成されてきました。

ただ一方で、こうしたタレント化やアイドル化する彼女たちをよく思わない人もいます。アナウンサーとは、もともとメディアを通じて情報をお茶の間に届ける職業であり、決して伝える本人が主役になることはありません。

ところが近年は他の出演者よりもフィーチャーされるシーンがあったりと、少し職業柄の本質とはズレた立ち位置にいることも増えているのです。

また容姿端麗で、学生時代にミスコンの受賞歴がある人も多いです。このことからも、まず容姿や愛嬌を重視して採用し、アナウンス力は二の次だという採用方針も窺えることがあります。

特にフリーの立場で活動する女子アナはこの傾向が強いため、嫉妬などの声も含めて風当たりが強くなっているのでしょう。

◇女子アナのタレント化で生まれたメリット

しかしタレント化していく背景で、新たに生まれたメリットがあるのも忘れてはいけません。何よりも最も大きなメリットとしては、アナウンサー職は地味で堅いというイメージを変えたことです。

実際に華やかな役割を与えたことで、将来の夢にアナウンサーを掲げる女性は一気に増えました。これに比例して受験者も多くなったため、その分テレビ局に優秀な人材が集まりやすくなったわけです。

更には、所謂舞台度胸のある、喋れる女子アナも増えました。報道番組の司会やバラエティ番組の回しなど、あまり経験を積まなくても最初からある程度の仕事ができるのです。

つまり相対的に見れば、メディアでの仕事に適性を持った人材が、タレント化を進めたことによって増えたと思っていいでしょう。地上波に元気のない時代とは言われますが、彼女たちがいなければもっと暗い現状だったかもしれません。

或いは、世間では大きな誤解が蔓延っています。それが、バラエティやスポーツの現場は楽だという固定観念です。よくアナウンサーは報道番組を経験しなければダメだという持論を展開する人がいますが、確かにそちらの方が緊張感もあり難しい話題に触れることは多いでしょう。

だからと云って、それ以外の現場も決して簡単な仕事はしていないのです。

例えば、スポーツの取材に焦点を当ててみます。恐らくこの言葉を聞くと、真っ先にアスリートとの出会いを連想させる人がいるはずです。現に野球選手との交際はある種のお約束で、出会いがあること自体に否定はできません。

とはいえスポーツの現場は想像以上に過酷であり、いかにマスコミ共同のインタビューで発言できるか、アスリートの本音を引き出せるかなどのプレッシャーがあります。

それまでに全く特定の競技への知識がなくとも、ある日突然その競技の取材に派遣されることは珍しくないのです。気難しいアスリートや、競技毎の取材ルールに悩まされることもあるでしょう。山のような勉強と気遣いをしなければ、スポーツの取材など到底できないわけです。

◇女子アナをタレント化しているのは視聴者である

バラエティでは、大御所の芸能人を相手にすることも多いです。中には気分屋で、扱いが大変なベテランなどもいます。それでもテレビ局の一員としてそこに出演する以上、いくら若くて美人な女子アナでも大きな看板を背負わなければならないのです。

長ければ1つの収録に数時間要し、帰宅が真夜中になることは当たり前のようにあるでしょう。こう考えると、いかに報道番組以外の仕事も大変なのかが判ってきます。

以上のことから、目に見えない部分での努力も相当あることを理解しなければなりません。タレント化されちやほやと持て囃されていると考えがちですが、実はそのイメージに誰よりも苦しめられているのが彼女たち本人なのです。

視聴者側の人たちにも、今一度先入観や誤解を取っ払ったテレビの視聴が求められてくるでしょう。

そしてこれから畑恵さんのような女子アナを目指す女性たちに対しても、同様のことが言えます。楽しそうだとか有名人と一緒に仕事ができるだとか、そのようなことを動機にしていては足許を掬われます。

どれだけ容姿への自信や情熱はあっても、入社した後のことを考えるとそれだけではいけません。入社するまでにした何倍もの努力を重ねなければ、一人前として認められることはない世界なのです。

最後に、現在ではメディアに出演するというのはとても大変な時代になりました。何故なら少しでも失敗をすれば、インターネット上で簡単に不特定多数の人がそれを共有するからです。

真に彼女たちをタレント化させているのは、他ならぬ視聴者そのものなのかもしれません。

・畑恵さんについてはこちらへ→畑恵さんは結婚してるの?